Note
民間保険に入るべきか? 3つの判断基準
民間保険に加入すべきかを、低確率・高損害、資産への影響、保険料の安さという3つの基準から考えるメモです。
公的な健康保険や年金とは別に、民間の保険に加入すべきかどうかを考えるための方針です。保険は期待値で見れば、保険会社の利益になる分だけ加入者が損をする仕組みです。それでも入るべき保険と、入らなくてよい保険があります。以下の3つの基準で判断できます。
基準1:「めったに起きないが、起きたら大損害」に備える
保険の本来の役割は、発生確率は低いが起きたときの損害が非常に大きい事象に備えることです。こうした事象は自分の貯蓄だけでは対処しきれないことがあり、保険料として少しずつ負担する方が合理的です。
逆に、頻繁に起きる事象に対する保険は保険料も高くなるため、自分で積み立てた方が有利になります。
この基準で「入るべき」となる例:
- 火災保険 ── 住宅が全焼すれば数千万円の損害
- 自動車の対人・対物賠償保険 ── 事故で億単位の賠償責任を負う可能性
- 死亡保険(扶養家族がいる場合) ── 稼ぎ手を失ったときの家族の生活費
この基準で「不要」となる例:
- 家電の延長保証 ── 壊れても数万円の出費で済む
- スマホの故障保証 ── 買い替え費用は生活を脅かすほどではない
基準2:損害額は「自分の資産に対する割合」で考える
同じ300万円の損害でも、貯蓄が3,000万円ある人と100万円しかない人では深刻さが全く違います。前者にとっては資産の1割の出費で済みますが、後者は貯蓄を全額失った上に200万円の借金を抱えることになります。保険が必要かどうかは、損害の絶対額ではなく、自分の資産や収入に対してどれほどの打撃になるかで判断します。
考え方の目安:
- その損害が生じても、生活水準を大きく変えずに貯蓄から支払えるなら、保険は不要
- その損害が生じたら、貯蓄が尽きて借金を抱えるなど生活設計が大きく狂うなら、保険で備える価値がある
この基準が効く例:
- 車両保険 ── 車の時価額が数十万〜100万円超。自分の貯蓄で買い替えられるなら不要、厳しいなら加入を検討する
基準3:保険料が安いなら、検討する価値がある
同程度の損害に備える保険でも、事故の発生確率が低い保険ほど保険料は安くなります。保険料が安いということは、保険会社の利益になる金額も小さいということです。つまり、期待値で見たときの「損する額」が小さく、保険としての効率が良いと言えます。
ただし「保険料が安い=入るべき」ではありません。基準1で「損害が小さいから不要」と判断されるものは、いくら保険料が安くても入る必要はありません。この基準は、基準1・2で「微妙なライン」にある保険を判断するときに役立ちます。
この基準が効く例:
- 個人賠償責任保険 ── 水漏れ事故等で数百万円の損害に備えられて、保険料は年間数千円程度。期待値の損失が非常に小さく、加入する合理性が高い
3つの基準を組み合わせて判断する
| 保険の種類 | 想定される損害額 | 基準1(低確率・高損害か) | 基準2(資産に対して大きいか) | 基準3(保険料は安いか) | 判断 |
|---|---|---|---|---|---|
| 火災保険 | 数千万円 | 該当する | ほぼ全員に大きい | ─ | 加入すべき |
| 対人・対物賠償(自動車) | 数千万〜億円 | 該当する | ほぼ全員に大きい | ─ | 加入すべき |
| 死亡保険(扶養家族あり) | 数千万円 | 該当する | ほぼ全員に大きい | ─ | 加入すべき |
| 個人賠償責任保険 | 数十万〜数百万円 | 該当する | 人による | 年間数千円と安い | 加入を推奨 |
| 車両保険 | 数十万〜数百万円 | やや該当 | 人による | やや高い | 資産次第 |
| 家電の延長保証 | 数万円 | 該当しない | ほぼ全員に小さい | ─ | 不要 |
| スマホの故障保証 | 数万円 | 該当しない | ほぼ全員に小さい | ─ | 不要 |
まとめ
- 保険は「万が一に備えるもの」 ── 起きる確率は低いが、起きたら自力で回復できない損害にだけ保険をかけます
- 「自力で回復できるか」は人それぞれ ── 自分の資産状況に照らして判断します
- 迷ったら保険料の安さを見る ── 同じ規模の損害に対して保険料が安い保険は、保険会社の利益になる分が小さいため効率が良いと言えます
この3つを意識すれば、不要な保険に入りすぎることも、必要な保険を見落とすことも防げます。